1年目、ありがとうございました!

今年、平成三十年の1月に自社HPを立ち上げることにしました。
そして週に一度程度、お知らせという形でブログを書くことにしました。

おかげさまで1年間続けることができました。
田舎の工務店の親父のブログ。
読んでくださった方は多くはありません。

ですが、私のこと、我が社のことを知りたいと思ってくれる方が読んでくださればそれで満足です。

奇特な方が過去記事まで遡って、また読んでもらえることを期待しています。笑

 

改めて私は文章に綴るのが好きなんだということを感じます。
来年も工務店の日常や知られざる作業や街のことなどざっくばらんに書いていこうと思います。

平成三十一年も今年と変わらず見ていただけると幸いです。
それでは皆さん、良いお年を!

追伸
私の菩提寺、「極楽寺」では除夜の鐘つきがあります。
23:30より百八の鐘の音が温泉街に鳴り響きます。
私達檀家は山門前にて「極楽そば」を作ります。
1杯100円(※小学生以下無料)です。

小さなサイズですので食事後でも食べられます。

是非「萬年会」(極楽寺の若手の会です)の極楽そばを食べて年を越しましょう!

また、お酒・甘酒の振る舞いもありまして、こちらは無料です。
年の瀬にお参り頂けましたらと思いますので是非お越しください。
(温泉寺でも除夜の鐘が開催されています。ハシゴもお薦めですよ!)

下半期の記事を見返して

今年になってはじめたこの「お知らせ」記事投稿。
見返すと試行錯誤を感じることができます。
建築屋のおっさんが何を書くのか。
何を書くべきなのか?
何が喜ばれるのか?

極力街のことを書かないようにしました。
これは、旅館さん等の観光客を相手にした記事ではないから。

工務店の仕事を知ってもらいたい。
これには重点をおきました。
一般の方から工務店が「どう見えている?」のかはわかりません。
だからこそ、普段わざわざ口にしないようなこと、お客さんには見えない作業のことを書きました。

書き溜めるにつれて、見返すと自分にも良い記録になります。
UTSUROIのような大きな工事から、観光協会の灯篭板作りまで。
本当に幅広い仕事をさせてもらっているということがわかります。

サラリーマンのお客さん、旅館さん、商店さん。
意外に多いのはお寺と神社。

これからも書き留めていきますので宜しかったら読んでみてくださいね。

それでは今回は下半期まとめです。
全部ではありませんが抜粋してみました。

7/6 クロス再生

クロス再生

 

 

 

UTSUROI関連
10/2 ついにGRAND OPEN!

ついにGRAND OPEN!


11/27 山田毅さんの絵を頂きました!

山田毅さんの絵を頂きました!


12/10 UTSUROI設計士さんからのクリスマスプレゼント

UTSUROI設計士さんからのクリスマスプレゼント

 

 

 

蓮成寺鬼瓦交換
10/8 前編

お寺の鬼瓦の交換工事!前編


10/11 中篇

お寺の鬼瓦の交換工事!中篇


10/18 後編

お寺の鬼瓦交換工事!後編

 

 

 

10/14 秋祭りのお話

秋祭りの季節です!

来年はどんな工事があって、どんな作業があるだろう?
どんな職人さんとどんな話して形にするのだろう?
それをどんな文章に綴ることができるだろう?

楽しみです!

洗い場に桧の溝蓋

数年に一度、某老舗旅館さんの浴室、つまりお風呂ですね。
浴室内にある排水溝の蓋を制作しています。

浴室なのに、木の溝蓋。
数年に一度、交換します。
汚れで黒ずんだり、腐朽が始まるからです。
加工・制作にもけっこう手間がかかります。
それでも数年に一度、発注いただきます。

 

建築当初、設計当初のままに。
メンテナンスの観点から、良いか悪いか。
それはこれを読んでくださった方に委ねるとします。

我々はただ、やりがいを持って美しく仕上げることに心血を注ぎます。

一枚一枚の形をベニヤに写し取ってあるのでそれに合わせて加工します。

上小節材等級(あまり大きな節のない、死に節の無い材料等級です)からなんとか材の取り方を考えて無節になるように。
木目が美しく見えるように。

加工できたら現地で角を合わせて微調整。

一枚一枚、大きく角面を取りながら、 もちろん足が引っかかることがないように。

こうして今回も31枚の溝蓋が出来上がりました。

大量消費のこの世の中に於いて、こういった仕事をすると昔のゆったりとした時間の流れを垣間見る気がします。
忙しない日常から離れて城崎温泉にいらっしゃる観光客。

その方々が老舗旅館で過ごす、日常を異とする時間の流れのお手伝いができた気がしました。

UTSUROI設計士さんからのクリスマスプレゼント

先日、UTSUROIの設計をされた垣田先生(設計事務所と近畿大学の建築学科で教鞭を執られています)から素敵なプレゼントを頂きました(^^*)

それはUTSUROI工事の着工前(旧消防署)、設計段階+模型、工事中、工事完成写真を一冊にまとめた写真集です。

工事の流れがよくわかります。

まさにBEFORE&AFTER!

打合せ風景もあり、あんなことで悩んだな、とか、こんなことで苦労したなと昨日のことのように頭の中に蘇ります。

垣田先生が「これは私の代表作になりました!」と仰っていました。
それは私ども、谷口屋工務店でも同じことです。

町の小さな工務店でも、木造だけでなく先進的なデザインを形にすることができました。
もちろんその中で木造建築で培った知識や技術をフル活用して提案もさせていただきました。

こんな工事もできるんですよ!
って色々な方に胸を張って言える工事になりました。

この投稿に寄せた写真はほんの一部です。
写真集冊子をご覧になりたい方はUTSUROIカフェに置いてあるそうですので是非見てくださいね。
もちろん個人的に声をかけていただきましたらお持ち致します(^▽^)

冬場の内職?

但馬地方の冬は厳しい。
寒さに加えて、不確定要素である雪。
降る年もあれば降らない年もある。
降ったら外仕事は余計な「雪かき」を伴います。
(とはいえ、無いよりはよっぽどマシですが笑)

そんな中で我が社の工場では内職をしています。
それは「城崎温泉灯篭流し」の燈篭板の制作。

8月の「城崎温泉夏物語」という1ヶ月に及ぶイベントのフィナーレとして燈篭流しは開催されます。
その燈篭に使う板。
全部で500基分あるのですが、数年前より古い板が朽ち始めました。
板自体の老朽化に加えて、板を留めている針釘が錆びてもろくなっているんです。

そこで数年前に半分作り替え。
桧の板を、今度は錆びないようにステンレスの針釘を使って仕上げています。

今冬は残りの半分の作り替え。
これで全部新しくなるぞ!

桧の野地板を削って、寸法に切って、組立て、そして穴あけ。
200枚以上制作!

私が城崎温泉の数多あるイベントの中でも特にお気に入りなのが燈篭流しです!
町民が、子どもが、観光客が思い思いの絵や文字に想いを載せて川に流し、花火が彩りを加えてくれます。


そのイベントのお手伝いができて、そして準備の板作りまでできて嬉しい限りです。
(しかも暇な時間に作業ができます。ありがたやです!)

 

これで10年は心配なく燈篭流しが続けられるはずです!

※燈篭流しは無料で誰でも制作に参加して流していただけます!

近隣、豊岡の方も是非おこしになって欲しいと思います。

とっても手軽で、ご家族の記念になること間違いなし!ですよ!!

 

山田毅さんの絵を頂きました!

今年一番の大工事、TSUCHIYA UTXUROI ANNEXの工事が終わった際に。
お施主さんであるつちや旅館さんより日本画家「山田毅さん」の絵を頂きました!
「玄武洞」の迫力あるスケッチです!

山田毅さんは城崎温泉出身の日本画家さんで、つちや旅館のお生まれ。
城崎の小中学校や城崎国際アートセンター、各金融機関に大きな絵が飾られています。
ですから我々は小さな頃から見てきた日本画家さんです。

 

工事が終わり、ご褒美にと貴重な絵をいただきました。
改めまして、山田社長、毅さん、ありがとうございます!

絵は飾らなければ意味がない!
工務店の応接間に飾ることも考えましたが、年間通じて見ていただく機会が少ないので、私の実家である「谷口屋遊技場」に飾ることにしました!

今後、飾る場所を変更することもあるかもしれませんが、遊技場のお客さんに見てもらいたいと思います。
額もセットでいただいたのですが額装も城崎ゆかりの今森さんにしていただきました!
今森表具店さんの甥っ子さんにあたります。
今森表具店さんは城崎工業会の古くからの仲間です。
様々なご縁を感じます!

改めまして、TSUCHIYA UTXUROI ANNEXのギャラリー(観覧無料)に山田毅さんの大迫力の日本画が満載です。

日本画の1人の画家さん専用のギャラリーとしては日本最大級なのではないでしょうか?(つまり世界最大級?)
額装にさりげなく「麦わら細工」を施した作品もあります。

麦わら細工は「神谷民芸店」の神谷俊彰さんの制作です。

 

城崎出身の画家さん、額装屋さんならではの発想ですね!

工事を通して山田毅さんにとても仲良く接していただいています。

2年連続、秋祭り(だんじり祭り)でもお会いできたり。

とても気さくな方でお話するだけで心がウキウキします。

今後のご活躍を祈念すると共に、楽しみにさせていただきます!

 

焼き杉板のお話

今日は材料のお話です。
谷口屋工務店がよく使う外壁の材料に「焼き杉板」があります。
本当に、焼いた、杉の板です。

この材料は軽くて施工性も良い。
そして割と安価なのに「木」の感じが良く出ます。
張替えもしやすい材料です。

この焼き杉板。
今では木材メーカーで手に入れることができ、色も選べます。
(軽く焼いて、塗装してあります)

↓中本造林の焼き杉板↓

http://www.nakamotozourin.co.jp/lineup2/exterior/01/

しかし以前は、本当に現場で焼いていました。
私も一度だけ焼いたことがあります。
手順はこうです。
1. 2mの長さの3枚の杉板をてっぺんで結んで、足元で稲わらに火をつけます
2. ボワっと一気に表面が焼けます
3. 良きタイミングで水につけて火を消します
4. 乾かしたら、完成
なんと原始的な方法。

この焼き杉板ですが、昔の漁村は全てこの材料で外壁してあった!
と言っても過言ではありません。
「海風の当たる家は焼き杉板!」
ということで竹野も津居山も真っ黒な家ばかりでした。
海風に強く、虫が寄ってこない材料です。
しかし、黒い色はススです。
新築で真っ黒だった家は時間の経過とともに色が薄くなります。
つまり、毎日風に乗せて周囲に真っ黒くろ助を飛ばしていたんですね。

最近では手焼きの杉板は聞きません。
ですが私は今でも大好きな材料です。

最近も旅館の外壁や燈篭に使いました。
もう手で焼くことはないだろうけど、少しやってみたいですね。笑
火事には要注意!です。

余談
冬になり、空気が乾燥しています。
火事に十分ご注意いただきたいと思います。
消火器はお持ちですか?中身に使用期限がありますので必ず交換してくださいね。
城崎の設備屋さん(城崎設備、小原設備)でも承っています。
火災報知機の設置が義務化されています。
台所、寝室、階段の上。
必ず設置なさってください。取り付けが困難な高齢者さん等は仰ってくださったら取り付けに伺いますよ。
灯油の置き場は適正ですか?火が近くにないですか?
その都度ポンプを抜いて蓋をしめていますか?
灯油は揮発もします。ポンプ挿したまま置いておくのは危険です。

消防団員としてつい書きました。
火事は人災!
自分の家は自分で守る!
各家、各旅館・事業所が各々心がけることが肝心要です!

カメムシが多い年は雪が多い??

「カメムシが大量発生した年は大雪になる」
但馬地方では経験則としてよく語られます。
先日、造園屋さんと話してて、
私「ほんまかな?」
造園屋さん「一概には感じませんね」

ということでした。
とはいえ、地域に残る経験則なのでなにかしらの関連はあるのかもしれません。

さて、今年はカメムシ(別名:ヘコキムシ、ヒメムシ、ジョンソン)が本当に多いですね。
家の壁や植木。
どこから入ったのか家の中にも。
もちろん洗濯物にも。靴を履く前も要注意!

凶暴でもないし、Gのようなバイキンを媒介する感じもしない。
そうです。
あの臭いさえ発しなければ。

あの臭いもつぶすなど、よっぽどの刺激を与えない限りだしません。
ブーンと飛ぶものの、動きもゆっくり。
捕獲も難しくありません。
最適な捕獲具はガムテープ。カメムシの背中に引っ付けるだけで臭いを出すこ
となく捕獲できます。
近年ではペットボトルで捕獲している人が多いですね。
500mlのペットボトルを半分に切って、口を逆さにしてテープ止め。
カメムシをフチでつつくとコロンと入って出てこないそうです。
食器洗剤ですぐにお陀仏です。

「カメムシが大量発生した年は大雪になる」

今年の冬は、大雪じゃなければええなぁ。
昨季は大雪でした。
とはいえ、一昔前のように毎日ヒタヒタ降り続けて累積が40cmになる、という
降り方ではありませんでした。
1日、2日のわずかな間にドカっっ!!!!と1m降る。
止んだら1週間で溶けてまたドカ!!!
そんな降り方でした。

 

今年も市役所から「雪下ろし対応業者」の依頼がきました。
雪下ろしは危険作業です。
ですから出来ることならば、したくありません。
しかしながら、一般の方が自分で行うのは更に危険です。
屋根の構造・勾配、雪止めの場所。瓦の種類。
落とす場所、排雪の方法。
やはり建設業者の方がわかっているのは間違いありません。

 

谷口屋工務店では普段お世話になっている旅館さんや一般住宅と独居高齢者さ
んからのご依頼にはできるだけ応えるつもりです。
もちろん、自社そして協力業者のネットワークを活かして。
※雪かきもお受けしますが自社では除雪機がありませんので手作業もしくは協
力業者に無理を承知で依頼します

豊岡市では「要援護世帯雪下ろし援助事業」というのがあります。
去年まであったので今年もあると思います。

補助対象世帯は
1.65歳以上の高齢者だけで構成される世帯
2.重度障害者だけで構成される世帯
3.母子世帯(18歳未満の子とで構成される世帯)
4.1~3まで組み合わせの世帯
です。
補助要件や金額は豊岡市にお問い合わせください。

城崎の旅館さんは立派な除雪機をお持ちのところが本当に多い!
羨ましいくらいです。
導入を毎年のように検討するのですが、なんとなく
「買ったら降らないような気がして・・・」
買いません。笑

雪下ろし、できることならしたくない作業ですが、古い家屋のためと思ってご
依頼がありましたら精一杯努めようと思います。

日本語でかずの数え方

以前、FACEBOOKで投稿したこともあるネタです。
ネタがないのでまた書いてみます。笑

日本語は言語として難しい、と言われます。
そうだと思います。
40年、日本に生まれ生きてきても難しいのですから。

子どもには、まして外国人には難しいと思います。

 

 

その一端を「数え方」から見てとれるとは思いませんか?

魚・・・1匹、2匹、3匹・・・
蟹・・・1杯、2杯、3杯・・・
鳥・・・1羽、2羽、3羽・・・
牛・・・1頭、2頭、3頭・・・

どんだけ数え方あんねん!
日本人でもそう思うのですから、外国人にはちんぷんかんぷんでしょうね。
私の娘4歳も日々、混乱の中で彷徨っています。

そんな数え方。
我々建築でも物の数え方もありますが、私が仕事をしながら感じたのが「読み方」なんです。

寸法を読むときに、cm(センチ)やm(メートル)ももちろん使いますが、職人の世界には、根強く寸(すん)尺(しゃく)の呼称も使います。

現場で大工の棟梁と話している時です。
私「あそこの材料なんだけど、厚み3寸は欲しいわ。」
棟梁「ん?何だって?」
私「3寸(すん)は欲しいって!」
棟梁「そんな寸法あれへんわ!3寸ならあるけど!」
私「だしけー3寸って言っとるがな!」
棟梁「3寸(すん)じゃなくて3寸(ずん)!!」

・・・

3寸は「さんすん」ではなく「さんずん」と読みます。
3尺も「さんしゃく」ではなく「さんじゃく」です。
なんとややこしいことでしょう!

ん?ふと日本語の数え方、そしてその読みに思いを向けてみます。
魚・・・1匹(ぴき)、2匹(ひき)、3匹(びき)・・・
蟹・・・1杯(ぱい)、2杯(はい)、3杯(ばい)・・・
鳥・・・1羽(わ)、2羽(わ)、3羽(わ・ば)・・・
牛・・・1頭(とう)、2頭(とう)、3頭(とう)・・・

 

 

数える対象によって使い分ける数え方。

それに加えて普通、濁音、鼻濁音。

普段使い分けている方が遥かに難しいというオチでした。

今ではすっかり3寸(さんずん)、3尺(じゃく)と言う様になりました。

 

外国人にこの法則を教えたら、3cm(さんぜんち)とか言い出すでしょうね!
WHY JAPANESE PEOPLE!!

「和風」日本の原風景にあるカタチ

谷口屋工務店では旅館さんや神社やお寺の工事をさせていただくことが多いので常に「和風」を意識しています。

城崎の旅館といえば和風建築が圧倒的に多いことに起因します。
そもそも「旅館=和風、和室」ってことなのでしょうね。
しかし今では「和風も多様化」していますし、「和洋が折衷」することもよくありますし、敢えてそこに向かうことも多くなりました。
しかし、だからこそ「和風、和室とはなんぞや?」を意識し、真ん中で捉えることを大切にしたいと考えています。

ところで「和風」って何でしょうか?
和風とは読んで字の如く「日本古来の材料・工法・色」で統一することだと思います。
例えば・・・畳(材料)、しっくい(材料)、ジュラク(材料)、真壁構造(工法)、朱色(色)・・・
等です。ちなみに「しっくい」はお寺や蔵などにも多い白いツルっとした壁(今はカラーしっくいもあります)のこと。
ジュラクは和室の壁に多いザラザラした砂壁のこと。
最近は色の種類も増え、一概に和風だけではないかもしれません。
我が家の床の間に黒のジュラクを使ったら締まってとても格好良くなりました。

 

真壁構造とは構造体である柱を化粧材として室内に露出した工法のことです。
洋風の建物は真壁に対して「大壁(おおかべ)」といい、柱は基本的には見えないようになっています。
つまり壁パネルの構造→洋風、真壁(柱梁の構造)→和風という図式です。
ですが、この垣根も年々下がっています。

朱などのは日本古来の色と言われて原色よりも落ち着いた色相彩度となっています。
日本古来の色は数え切れないくらい多くあります。日本の気質・風土を表すのは日本の色かもしれません。

さて、話を戻します。
真壁だと柱が見えます。部屋の中、畳に座ってみてください。
壁が柱で区切られます。
足元には巾木、天井近くには廻り縁。高さの真ん中より少し上にあるのが長押(なげし)です。
「和室は区画の集まり」です。
特別なことをしなくても、大きな区画と小さな 区画が整然と並び変化と調和をもたらしてくれます。これは実は本当に凄いことです。

日本の気候と伝統・文化がもたらした芸術と言えます。

とはいえ、難しく考えることはひとつもありません。
日本人の原風景の中に和室があるということが一番の「癒し」のポイントなのです。

「和室、ええなぁ、落ち着くなぁ」

そう思えたらバッチリ完璧です。

 

和室の中でもうひとつのポイントがあります。
建設業の人間は当たり前に知っていても普通の人は意外と知られてないことじゃないかと思います。
それは木材に「節がない(かなりすくない)」ということです。
柱、巾木、長押、床(とこ)、敷居・鴨居、無目・・・和室の木材には基本的に節がありません。
(最近では設計意図によりワザと節を見せる方法もあります)
節がない・・・無節(字の如く見える面に節は一つもない)
ほぼ節がない・・・上小(じょうこ:上小節の略であっても節が小さく上物)

などと言います。
一概には言えませんが、節がないことが和室の美徳です。
もしくはあっても小さいか生き節と呼ばれる、意匠的に見れる節です。
(対して固く抜けてしまうような節を死に節といいます)。

ご存知でしたか?
意外と知られていないんじゃないかと思います。
柱一本にしても木目が縦筋のものを「柾目(まさめ)」、欅等に代表される波紋のように年輪が美しく見える木目を
「杢目(もくめ)」といいます。
柾目は縦筋の感覚が狭く、均一なものが良しとされ、杢目は好み次第で様々な表情を木材に見ることが出来ます。
私は子どもの頃、何となく「和室なんかダサい」と思っていました。
自分の部屋を洋間にした覚えがあります。
でも今では和室が大好きです。
落ち着き・佇まい・色彩・質感。
本当に落ち着きます。
伝統的な和室に加え最近では現代を取り入れたスタイルに発展もしています。
和室にベッド等がある部屋もそのひとつでしょうか。

最近では和室がない住宅も増えています。
生活スタイルの変化からそれもやむを得ないことだと思います。
だからこそ温泉旅行に行った時に和風に触れて欲しいと思います。
神社やお寺を訪れる機会には楽しんで欲しいと思うのかもしれません。
日本人の原風景に自分が溶け込むこともひとつの楽しみにしてもらえたら、と思うのです。
城崎の老舗旅館さんに行く機会があると、我々はハっとするくらい良い材料が使われていることがあります。
でも今の若い人達はそんなこと知らないだろうし、気にしないんでしょうね。
「新しいこと=良いこと・良いもの」ではありません。
もちろん古ければ良い、なんてこともありません。

建物は建って終わりではありません。
そこがスタートであり、使う人と過ごす時間が建物に刻まれていきます。
住宅の柱に子どもの成長が刻まれていくように。
旅館の柱が落ち着きの色に彩られていくように。

そうやって建物に寄り添う、使う人に寄り添う仕事をしていきたいと思います。

一の湯足湯

今回は以前施工した物件を紹介してみようと思います。
「一の湯足湯」です。
温泉地での「足湯」ももう流行りを通り越して「定番」になりつつあります。

城崎温泉にも足湯は意外にたくさんあります。
さとの湯、柳湯、文芸館、一の湯、温泉寺近く(元湯)、鬼子母神の近く・・

谷口屋工務店では一の湯の足湯を公共工事で施工しました。
ちなみにいたやさんの横にある飲泉場も谷口屋の施工です。

足湯っていいですよね。
フラっと立ち寄ってほっこり。
足が暖まれば身体が暖まるし話も弾むってものです。

一の湯足湯は温泉が石から湧き出ているので手湯にもなっています。
ただし下に滴り落ちて足湯で温度がちょうどよくなるようになっていますので湧き出す温泉の温度は55℃くらいと熱いのでご注意ください。
石から湧き出ることにより石が暖まり、遠赤外線を放出しているとかしていないとか。

この足湯で是非見て欲しいのはなんと言っても屋根。
外観の屋根は「むくり」のある「銅版一文字葺き」です。
むくりとは神社仏閣に多い形式で屋根が曲がっているデザインです。
日本らしさと落ち着きを演出しています。
屋根構造は二重になっていて化粧垂木(見える部分)と捨て垂木(見えずに斜め屋根を形成する部分)で構成されています。
外観の仕上げの銅版は葺きたては金ぴかですがすぐに銅独特の落ち着いた風合いの色に変わります。
銅は酸化することによって薄い皮膜を造り、その皮膜によって深部への酸化(サビ)を食い止め、長持ちする材料といわれています。最近は酸性雨の影響か、昔ほど長持ちし
ない傾向にありますが、やはり趣きもあり愛されている材料です。

内観の屋根、つまり足湯に浸かったら是非天井を見上げてみて下さい。
放射線状に屋根を支える丸太の垂木を見ることができます。
「むくり」のある屋根は二重構造になるので重量が重く、これだけの本数で支えないといけないのです。

あまり見上げることはないと思います。
でもそこには「必要に迫られた構造が作り出す機能美」があります。

このむくりと丸太の垂木は本当に施工が大変でした。
一度工場で組んで、解体して現地へ運び、組み上げました。

大人気の足湯で四季を通して人が座り、語らっている姿を見ることができます。
公共物の工事を行う喜びです。
もう10年経ちました。時代の流れで簡単に取り壊されないことを祈ります。

最後に。
外観の屋根のてっぺんにたまねぎにも似た物体が乗っています。
屋根と同材の銅のギボシのように見えますが・・・
実は「但馬焼き」の壷が乗っています。

本当にただの壷なので凍害や何か衝撃で割れるんじゃないかと思っていましたが・・・
良くもってくれてくれます。

お寺の鬼瓦交換工事!後編

天候に合わせて目隠しシートの脱着を繰り返しながらも酷暑の中作業を進め、鬼瓦を無事に交換することができました。

もちろん鬼瓦交換作業が終わってからの、足場の解体も御所の湯の休湯日を選びます。

直近の休湯日を逃すと次は2週間後。

予定を確定し、天候にもなんとか恵まれ、予定の休湯日に足場を解体することができました。

今回の工事はお寺の鬼瓦の交換でした。

両側の2箇所の鬼瓦。そして取り付けに付随する瓦の交換や修繕。

鬼瓦の交換は私にとって初体験で、鬼瓦がどうやって組まれているか、どのように取り付けられているかを目の当たりにすることができ、とても勉強になりました。

こういった、普段ではあまり受注しない仕事を受注できることは我が社の喜びです。

また、それを安心して発注してくださるお寺さん、檀家さんがいらっしゃることも。

本当に有難いことだと思います。

既存の屋根に、新しい鬼瓦が見事に鎮座しました!

ボルト接合も以前のものは錆びていたので今回はステンレスボルトに変更しました。

これで安心!長い間、大丈夫!

実は下から見上げる鬼瓦と、至近距離で真ん前から見る鬼瓦では印象が大きく違うなぁと思いました。間近でみる威風堂々は本当に大迫力です。

とはいえ、本来は遠くから(下から)見るように作られているんですよね。

下から見上げて、良いバランスになるように大きさが決められているということ。

とても面白いと感じます。

お寺の瓦は一般住宅とは葺き方が違います。使っている材料も少し違います。

のし瓦が高かったり、立派な鬼瓦が乗っていたり。

勾配が急で、丸筋が何列も並んでいたり。

装飾が多い瓦屋根です。

これは見た目を良くする効果がが大きいのはもちろんですが、やはりこの重厚な佇まいが境内の雰囲気を作り、お寺を訪れる人の心を落ち着かせてくれるんじゃないかなと思います。

個人的に仏教が好きだったりするということもあるかもしれませんが。

谷口屋工務店は町内各寺院さんから、お仕事を頂いています。

四所神社、極楽寺、蓮成寺、本住寺。

内川地区やの神社やお寺。

色々な社寺よりお仕事を頂いて施工するのですが、本当に特殊な作業が多い。

手間もかかることが多いのですが、絶対にハウスメーカーにはできない仕事だ!

そういう気持ちで取り掛かっています。

興味深いことも多いし、ひとつひとつが勉強になります。

↑これは懸魚(げぎょ)です。

これは棟木や桁の木口を隠すのですが、火災を嫌って魚の形を模すことが多い装飾です。立派な細工です。

しかし年数が経ってかなり木が痩せてきています。

固定の木栓が1本外れていたのも今回こっそり取り付けておきました。

まだまだ長持ちしてもらわないと!

宗教建築に触れるたび、昔から今の世まで日本人の信仰心の篤さやいかに心の中心にあったのかが伺えます。

なかなか維持するのも大変な時代、そして世の中ではありますが、各地各社寺を大切にしていって欲しいですし、そのお手伝いが少しでもできたら!と思います!!

何かと心に思うところのあった鬼瓦交換工事でした。

秋祭りの季節です!

この時期はどこの地域も秋祭りだと思います。
城崎温泉も毎年10月14日の宵宮に10月15日の本宮。
温泉街はお祭り独特の空気に包まれます。

旦那衆は旅館を飛び出してお祭りに参加。

飲食店はほぼ全て休憩所へと変貌を遂げます。

観光地、温泉地としてはあり得ないほど観光客をほったらかしの秋祭りです。

 

 

簡単にご紹介します。

まずは構成。
温泉街の中央にある四所神社のお祭りです。
お神輿が四所神社より巡幸(じゅんこう)します。

↑お神輿さん

城崎温泉を流れる小川、大谿川(おおたにがわ)の四所神社より上流を上部(上部)、中流を中部(なかぶ)、下流を下 部(しもぶ)に分けて、上部は神輿台(みこしだい:通称どでん)という山車を、中下部はだんじりでせり合います。

↑神輿台

せり合いは狭い温泉街の中の橋の上!

薬師橋、まんだら橋、玉橋、地蔵湯橋。

橋の上と決まっています。

神輿、台、だんじりの運行は実は非常に上手くできています。

↑だんじり

 

私は祖父も父も中部。生まれ育ったのも中部地域。
生粋の中部人間です。

各部には各部ごとに役割があります。
(かなり概略です)

大警護 ・・・ だんじりに乗る偉い人
警護頭 ・・・ だんじり、周辺警備の責任者
警護  ・・・ だんじり、周辺警備
助頭  ・・・ だんじりの舵きり役の責任者
助   ・・・ だんじりの舵きり役
若助  ・・・ だんじりの舵きり役
後見  ・・・ 執頭の後見役
執頭  ・・・ 秋祭りを取り仕切る若きリーダー
若頭  ・・・ 若衆の取りまとめ役
若衆  ・・・ だんじりの原動力
小若  ・・・ 初めて大人のだんじりに参加する世代

中部ではおおまかに上記の通り。
上部にも下部にも近い組織があります。

役目の中で年代が近い仲間で組むのが「連中」です。要するに祭りの最小単位であり、チームのことです。

↑連中です。

中々集合写真を撮る機会がないので10年くらい前の写真です


私は「中部 助 久保田連中」に所属しています。
私の学年、1つ上の学年、2つ上の学年の3学年で13人の連中です。
中学1年生の頃の先輩方とタメ口で仲間をしているのが感慨深くもあります。笑

連中は冠婚葬祭を共にし、正に一生をかけての仲間です。
ずーっと世話になってきたし、これからもずーっと一緒に笑い合っていたい。
そんな仲間です。

 

長い歴史のある城崎の秋祭りですが、城崎にも少子化の波がきています。
だんじりを動かす原動力である若い子が少なくなりました。
お祭りに興味がない子が増えました。
働き方が多様化して、自営業の子が減りました。

城崎から都会に住む子が増えました。

 

正直、秋祭り存続の危機です。
そのくせ、偉そうにふんぞり返っているおっさん連中はたくさんいます。
(悲しいかな、我々もそっちの部類かもしれません)

 

私は城崎に生まれ育ち、父が祭りをしていることを誇りに思っていましたし、父の部に入って秋祭りをすることを疑ったこともありませんでした。
大変なこと、理不尽なこともたくさんありました。

しかし自営業では学べないことをたくさん学ばせてもらいました。

中部に限らず、たくさんの先輩諸兄と知り合うことができましたし、その後語らう機会を設けてもらえたり、町の会議やイベントを協力して運営することにも潤滑油となってくれました。

当日はもちろん、たくさんの恵のある、大好きな秋祭りです。

 

 

そんな私は、生え抜きの中部人ですが、個人的には中部のエゴを今後通していく気はありません。

若い人の意見を聞き、尊重したいと思います。

今の執頭さん達の世代は我々までの世代とは違って、町外に勤めるサラリーマンが主体なのに、祭り前1ヶ月は毎晩、本当に休むことなく毎晩集まって準備をし、土曜日曜は作業をして。
祭りで所属する部の上の人と知り合っても我々自営業とちがって、なかなか生かせる場も少ないと思います。
いかなるモチベーションで今の秋祭りを支えてくれているのか、正直わかりません。

不思議です。

私から見てもあまりにメリットが少なくデメリットが多く見えます。もちろん打算が全てではありません。それは当たり前です。しかし、それにしても彼らが一生懸命秋祭りに携わってくれる理由がわからないのです。

きっと、純粋に城崎の秋祭りを好きなんだろうと思います。いや、そう信じないと辻褄が合いません。笑

 

その子らが、一生懸命考えたのならば、やりたいように、それが実現できるように寄り添い、ガイドすることこそが(ちょっと若い)おっさんである我々の役目なのかなと思っています。

個人的には

「伝統を万が一損なうようなことがあっても」

秋祭りは

「存続することが第一」

だと思っています。

 

秋祭りはあくまでも城崎温泉のこれからの発展を願う氏神様のお祭りであって、伝統と因習を混同したおじさん達の勝手なエゴで残していくものではありません。

 

むしろ、今の若い子がやりたい祭り、実現可能な祭りとその仕組み作りこそが肝要です。

なぜなら今の若い子らのその先には、私の子どもの世代、更にその先には孫の世代があるからです。

 

暴論ですが、いざとなればエンジンやむなし!拡声器やむなし!GPSやむなし!だと思っています。笑
そこまではさすがに冗談としても、しょうもないおじさん達のエゴによって、潰えるよりも遥かにマシです。どんな形態の変化があるとしても残すことこそが伝統・文化・風習です。

 

 

そんなことをこの数年考えています。

しかしながら、そう思いながらとはいえ。

とりあえずは今年の秋祭りを楽しみたいと思います!

秋祭り当日が楽しいのは当たり前!

毎年、リアルタイムの熱いドラマが狭い温泉街に展開されます!

そして、若い子達が一生懸命頑張る姿を見るだけで目頭が熱くなります。

完全におっさんの証拠です。笑

 

 

※この記事はあくまでも個人の意見です。

我が連中の意見ではありませんし、もちろん中部の意見ではありません。

クレームがありましたら個人的にお願いします^ ^

お寺の鬼瓦の交換工事!中篇

半年間、待ちました。

ついに鬼瓦が焼きあがったとの連絡が入りました。

やっと、いつ着工するかをお寺さんと相談することができます。

最短の着工だとお盆の時期も工事中ということになりそうです。

お寺に一番多くの檀家さんがいらっしゃる時期に足場を組んでいる姿というのはいかがなものか?

工事をするということを多くの檀家さんに見ていただける機会と捉えるのが良いのか?

先祖をお迎えする時に工事中は失礼と捉えるのが良いのか?

悩みましたが弊社からはお盆明けからの着工を申し出て、お寺さんに了承して頂いたので盆明けから着工することに決定しました。

やはりお盆のお寺に足場は似合わない!そう判断しました。

ところで、もうひとつ問題が。

地域性の高い問題です。

それは「御所の湯」が近いということ。

御所の湯には大露天風呂があります。

ひょっとして、足場を組んだら露天風呂が見えてしまうのではないか?

懸念が起こります。

もし見えてしまったら。

悪気があろうがなかろうが。

問題に発展しかねません。

念のため、御所の湯の休湯日に足場を組むことにしました。

鬼瓦まで到達できる高さで、荷揚げ・荷降ろしできるステージを持ち、鬼瓦の交換作業のできる足場を組んで行きます。

私は基本的に高いところはあまり好きではないのですが、何故か仮設の外部足場は平気な性質です。

仮設工事というのは文字の通り「仮の施設」です。

工事が終わると解体・撤去します。

その儚さも相まってか、私には必要造形による美しさすら感じられます。

今回も鳶さんが素晴らしい足場を架けてくれました。

本題に戻りまして。

足場を上り、一番高いところから御所の湯方向に目をやると、

「や、やっぱり見える・・・ほんのちょこっとだけど」

(※この日は休湯日です!)

これでは作業することができません。

急遽目隠しのシートを足場の上部に設置することにしました。

これで足場側からは露天風呂は見えません。

お風呂側からも本当に見えないかは明日、実際に御所の湯側から確認することにしてこの日の足場組シート貼り作業は終了します。

次の日、地域振興局の温泉課と御所の湯の湯番さんにも相談します。

この日はお寺側が男湯ということでどうにか確認することができました。

温泉側から見える部分の足場にもシートを貼り、温泉課と湯番さんにも確認してもらいました。

これでやっと、足場組の作業は終了です。

瓦屋さんには次の日から作業をしてもらいました。

古い鬼瓦、付随する丸筋瓦を撤去。

クレーンも入れない境内なのでほとんど手作業です。

唯一、瓦屋さんの瓦専用リフトだけは設置できたのが救いです。

既存の瓦を撤去すると、いよいよ新しい鬼瓦の登場です。

施工要領書を確認したいと瓦屋さんに尋ねてみると、

「そんなんあれへんわいや」

の一言。

どうもメーカーも説明書無しで送ってくるようです。

瓦屋さんとどうやって施工するかを考えます。

地面にパーツを並べて、仮に組んで。

「実際にやってみる!」という作戦に変更しました。

仮組みで要領を得てから足場の上に運んで実際に設置します。

大きな鬼瓦です。

仮設置、パーツをボルトで接合、バラして修正・・・

細かく大変な作業に数日を要します。

「(天気予報を見て)・・・! 台風が来るな・・・!」

例年よりも少し早い夏台風の望みもしないご参拝の予報です。

足場には目隠しのシートを張っています。

これは通常の風が抜けるメッシュシートではありません。

視認透過を防ぐためのシートなので風を受けると風圧を直接受け止めてしまいます。

風の強さ次第では足場を破壊しかねません。

ましてや屋根や破風板、お寺を損傷しかねません。

すぐに御所の湯の湯番さんに対応策を相談に行きます。

「台風前にシート外したいんで、最接近前日に15分くらい露天風呂禁止にしてもらえませんか?」

「そんなんできれへん!23時以降の温泉を閉めた後か、7時前の開湯前にして」

あっさり言われてしまいました。

しょうがない、台風最接近予報の日の朝6時からシートを外しました。

台風通過後に再度設置します。

これももちろん朝6時からの作業です。

設置しないと作業できないのだから仕方ない・・・。

これがまさかの1ヶ月の工事期間に2度の台風がご参拝。

おいおい、神有月の出雲大社じゃないんだから!

(神社じゃなくてお寺だし)

4度の早起き作業をすることになりました。

作業自体はたいしたことない作業ですが、お客さんに迷惑をかけるわけにもいかないし。

もちろん湯番さんや温泉課にも迷惑をかけるわけにはいきません。

本当に自然ってのは・・・!

そう思った夏の終わりでした。

さらに続く

お寺の鬼瓦の交換工事!前編

少し前のことになりますが、お寺の鬼瓦の交換工事を行いました。

そのお寺は城崎温泉街のほぼ中心、御所の湯横に位置する

「浄土真宗本願寺派 蓮成寺(れんじょうじ)」さんです。

事の発端は、今年の冬。

大雪の影響か、凍害のような格好で鬼瓦が破損し部分的に落下してしまったのです。

部分落下とはいえ、鬼瓦はとても大きなもの。

本当に人へ当たるなどの被害が無くて良かったです。

早速瓦屋さんに連絡。

谷口屋工務店ではほとんどの瓦工事を豊岡の「三好瓦店」さんにお願いしています。

昔ながらの職人気質。親子で瓦屋さんをされています。

まずは現地調査・・・なのですが、普通の住宅とは違い、高い。

そしてお寺独特の屋根勾配。

とても私には登れません。

瓦屋さんにカメラを渡して写真を撮ってもらいました。

さすが職人さんはひょいひょい登って行きます。

残っている鬼瓦もヒビだらけ。

鬼瓦は複数のパーツを合体しているのですが、結合している金具もサビサビ。

交換するしかありません。

ご住職さんにご報告をして檀家さんで相談していただくことになりました。

その結果が出る前に、鬼瓦を製造している会社に相談。

「この大きさの鬼瓦なんですけど・・・」

色、大きさ、納期。施工の方法。

すると予想していなかったことが。

「納期が半年後になります」

は、半年もかかるの??

ここ数年の地震や台風で各地の鬼瓦が壊れてしまって注文が集中しているそうです。

こんな特殊部材でもそんなことがあるのか~と改めて自然災害大国であることに考えさせられました。

そして檀家さんとご住職さんより発注を頂きまして、注文。

やはり納期は半年後。

鬼瓦はあくまでも飾りで雨漏り等には影響しないので、半年我慢してもらうことになりました。

続く

ついにGRAND OPEN!

長らく工事をさせていただいてきました。
「UTSUROI TSUCHIYA ANNEX」
10/1にオープンを迎えました。

 

1階はカフェ&ギャラリー。

2階は宿泊室です。

 

とても素晴らしい空間になったと思います。

つちやさんと設計の垣田先生の想いをなんとかカタチにすることができたかなと思うと施工者として嬉しくなります。

 

 

 

オープンに際し、街中の方々からお祝いのお花が届き、開店に華を添えてます。
つちやさんの人柄が、お祝いの花から感じられます。

たくさんの方が訪れてくださり、カフェでくつろぎギャラリーで驚き。
宿泊室を見て感動される様子をみてこちらもほっこりです。

 

設計は近畿大学で教鞭も執られている垣田先生。

そしてつちや出身の日本画家、山田毅さんの素晴らしい作品が壁を彩っています。

 

工事にあたって感謝をする人が多すぎて列挙できません。
関わってくださった全ての人々に感謝します。

そして感謝し尽せない、若くして亡くなられた先代の山田社長。

天国で喜んでくださっていると信じています。

 

 

工事の裏話(?)などもまたUPしていきたいと思います!

追記
山田一輝君、優貴子さんご結婚おめでとうございます!!

収納できるカラーコーン?

ご無沙汰になってしまいました。
酷暑、猛暑、そして酷暑。
城崎温泉は夏休みに入り、繁忙期モード。
平日毎日花火、毎日縁日。お客さんで大賑わいです。
実家の遊技場を手伝ったり、縁日のお手伝いや花火の警備をしていました。

今年は職人さんも熱中症になる人や仕事がなかなか進まない暑さでこまってしまいました。
お盆も過ぎて、やっと少しだけ涼しくなった気がします。
(まだまだ暑いですけどね)

体調管理は仕事の第一歩。
これからも留意したいと思います。

今日は面白いものを業者さんが持ってきてくれたのでご紹介。
まずは軽トラにひっつけてみます。


なかなか強力な磁石でひっつきます。

実はこれ、カラーコーンなんです!

そのなも「納くん(おさむくん)」
自動車に付けて走れます!
ん?何に使うんだ・・・?

本来は回転する重機の腹回りにつけて「回転半径立ち入り禁止表示」に使うんだそう。
弊社には回転重機はないのでその用途では使えません。
木材を運んだり、荷降ろしの際の仮のコーンとして使うくらいかなぁ。

あとは商工会や観光協会のイベント等で使えるかも?
考えてみようと思います。

畳んでしまえる、磁石でひっつく。
ご興味ある方がいらっしゃいましたらいつでも実物をお持ちしますのでお気軽にお問い合わせください。

 

大雨が終わると梅雨が明け、酷暑が続きます

 

まずは西日本大雨による災害にあわれて亡くなった方のご冥福をお祈りす
ると共に1日も早い被災地域の復興をお祈り申し上げます。
私としても微力ではありますが何かできることをしていきたいと思います 。

さてお話を戻します。
本当に暑い日が続いています。
7/20日の豊岡市は全国で一番暑く、38.9℃を記録しました。

暑い中での建築作業。本当に危険です。
もちろん脱水症状や熱中症が怖いのですが、それに伴って「倒れる」こと
が一番危ないのです。
建設現場は木材、鉄材、尖ったものや工具があります。
ウマ(脚立)の上からたった1mの高さでも命に関わることがあります。

現場の職人さんも高齢化が進んでいることもあり、2日に一人くらい不調
を訴える方も・・・。もちろん命が大切なので帰って休んでもらうことにし
ます。

ところで現場の対策と言えば、瓦屋さんは麦わら帽子!


本当に良くできていて、日差しを遮り通気が良い帽子です。
麦わら帽をヘルメットに仕込む方もいらっしゃいますね。

そして最近では当たり前になってきたのは「空調服」です。
この暑いのにナイロンジャケットを着ている割腹の良い方。
ほぼ空調服です。


ファンがついていて、バッテリー駆動で服の中に空気を送ります。
扇風機の涼しさ、というよりはかいた汗の気化熱で涼を得ていると思って
もらった方が良いでしょうか。

建設業以外の方はあまりご存知がないようで驚きました。

最近のユルキャラもこの送風方式が多いので、職人さんによってはさながらユルキャラのようです。笑

 

 

 

とはいえ、大昔から建設現場には抜本的な対策はありません。
鉄板敷いた現場では目玉焼きを作ることもできますし、コンクリートを打
設した後は硬化するときに熱を発するので40℃越えは当たり前。
城崎の工事では木造3階や小屋裏での作業は驚異的な暑さです。

何か良い方法がないものでしょうか?
とにかく現場の方たちの様子を見ながら作業を進めたいと思います。

畳のお話

先週、氏神様である城崎温泉の中心に位置する「四所神社」からご依頼を受けて神社各所の修繕を行いました!

まずは社務所の踏込の床がダワダワするということでチェックします。
畳は随分と年数が経過しています。
その下地は五分板。
(五分=約15mmの板ということで、畳の下としては一般的です)

畳の下に湿気取りの新聞が敷かれていました。

日付は昭和56年。

38年も前の畳。

さすがにヘタって当然です。

調べ進めるとどうやら、畳の下の板は腐ってはいないようです。
五分板の下は根太です。
一昔前の建物の根太間隔は現在の1.5倍ほど広い間隔です。
こちらも腐っていません。そしてその下は大引き。
こちらも腐っていないし、虫に食われてもいない様子。

良かった!

要するに畳があまりにヘタれていてダワダワする「感じ」がするということですね。
これなら畳を入れ替えるだけで済みそうです。
その他、本殿の板が外れているところも確認しました。

畳屋さんは氏子でもある月徳畳店さんにお願いしました。

元々社務所は独立して建っていたのに踏込室で住居部分と繋げてあるのでかなり形が歪んでしまっています。

畳屋さんはその間(部屋)の寸法を畳屋さんの測り方でサイズを測っていきます。
たった4枚。されど4枚。
歪んでしまった部屋にピッタリ畳が納まりました。
これぞ職人技。さすが、です。

そういえば、と思い出して先日の本山(大徳寺)参りをした時の疑問点を聞いてみました。
疑問点「大徳寺の畳のヘリ、あまり見たことのない柄だったのですが」
答え「紋ベリだよ。床の間で使うやつ」
あっという間に解決しました。

↑大徳寺に敷かれていた畳

 

今では床の間に使うヘリが、昔のお寺ではお部屋の畳のヘリに使われていたんですね。

なるほど。
大徳寺と塔頭をいくつかまわらせていただいたのですが、板の間(畳がしいていないだけ)と畳のしいてある部屋、一部屋の中でも畳が敷き詰められておらず、板が見える部屋とありました。
当時は畳に座れるのは身分が高かった人だけということだったんですよね。

大徳寺の各ご住職に「特別なヘリですか?」と尋ねましたが皆さん「?そんな特別なものではないですよ」というお返事でした。

なるほど、本山では部屋の畳に床の間用の紋縁を使うのが当たり前のことなんだな~。
文化の違いを感じた今日この頃でした。

畳の知識としてはもうひとつ。
「畳一畳」と言っても寸法がまちまちなのは皆さんご存知ではないでしょうか?

一番大きいサイズの畳は『京間』で、一般的に西日本エリア(関西、中国、四国、九州)で使用されています。
それより少し小さいのが『中京間』で、主に愛知・岐阜・三重で多く見られます。
さらに小さいのが『江戸間』。北海道から関東エリアまでの東日本エリアの大部分を占めています
そしてそして『団地間』というのもあります。

だから関西の人間が関東のアパートで「8帖」と表記されている部屋もなんだか狭く感じるんですね。
不動産屋のトリックです。
ちなみに
京間 (畳/縦 191.0cm× 横 95.5cm)×6帖=10.9443平米
中京間 (畳/縦 182.0cm× 横 91.0cm )×6帖=9.9372平米
江戸間(畳/縦 176.0cm× 横 87.8cm)×6帖=9.2716平米
団地間(畳/縦 170.0cm× 横 85.0cm)×6帖=8.67平米
ということなので京間と江戸間で1割違います。

 

さらに言えば、6帖の部屋でも畳の大きさは1枚づつ違います。
畳職人さんがその部屋にピッタリ合う寸法でこしらえてくれるのです。
だから畳を全部はがす場合は注意が必要です。
パズルのように元に戻らなくなってしまうんですよ。

日本人にとって温かみの象徴でもある和室、そして畳。
最近では畳のない家が増えています。

確かに現代日本人の生活はフローリングをロボット掃除機が走り回る方が便利かもしれません。
しかし和室のゴロンとできる感じ。子どもが転んでも全く問題ない感じ。
とても良いです。畳の部屋。
置き畳でも良いかもしれません!ホームセンターにも売っています。
貴方専用の畳が欲しくなったら畳屋さんに。

長くなりました。
畳のお話でした。

クロス再生

 

 

今日は新技術を見学してきました!
その技術とは「クロス再生」です。
クロス、とは部屋にはるいわゆる壁紙です。
最も使用される内装材のひとつですね。

このクロス、一度張ると次に張り替えるのは何年後でしょうか?
工事する機会でもないと10年、いや15年後とかだと思います。

これを張り替えずに洗浄して再生する技術が「クロス再生」です。
ハウスクリーニングとは洗浄方法が違います。
アルカリの汚れを酸性の洗剤で洗浄して、またアルカリで中和するそうです。

これまではハウスクリーニングで洗浄するとクロスをダメにすることが多かった。
この新技術はかなり画期的です!

日高の青年部の仲間でもある「吉谷建築」さんの見学会が城崎で開催されるというので行ってきました!


開催店舗は「book store IChi」さん(旧ドリカフェ)です。
タバコのヤニ汚れがすごい・・・

特殊な洗剤を塗布して

ふき取って

あとは中和。

とてもシンプルな作業ですが効果は絶大!

今後は弊社でも案件に応じて是非採用したいと思う新技術でした!

 

また、「book store IChi」さんは本屋さん(カフェ併設)で来週オープンされるそうです。オーナーの西垣さんは紆余曲折(?)を経て夢だった書店をオープンされるのですが、イベント等で良く見かけるたこ焼き「翁」さんもされている異色の経歴の持ち主です。

温泉寺の参道にまた楽しいお店ができますね。

クロス再生にご興味ある方は直接お聞きになっても良いですし、私からご紹介もさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください!

2018上半期まとめ

谷口屋工務店のHPを開設して半年が経ちました。
もちろんこれが集客にすぐ結びつくなんて考えはありません。
現場リポートや建設豆知識、裏話を読んでくださる中で「建築ってこんななんだ~」とか少しでも興味を持っていただける方が1人でもいればそれで良い。
そう思っています。
しかし実はちょくちょくリアクションくださる方がいます。
「おもろいのん書いてるやん!」
「中身、真面目か!」
「三日坊主じゃなかったなw」
などなど。

それから協力業者さんも「HP見たよ」と仰る方もいるようです。

実はけっこう、励みになります。

文章を書くのは好きではあるけれど、どういう風に書くのが良いのか半年経っても模索中。

慣れない中、週に1記事を目標にしています。
頭をひねって綴る文章ですが、トップページには最新10記事しか載りません。
ですので自己満足なのは重々承知の助ですが、半年毎に過去記事をまとめてみようかと思います。
今回はそのまとめ記事の1回目です。

 

2018年上半期まとめ
2018 1月
1/13 「始めます!」

始めます!

1/16 「大工の道具」http://taniguchiya.info/2018/01/16/%E5%AF%92%E3%81%84%E6%97%A5%E3%81%8C%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82/

1/19 「2018春の水周り情報」

2018春の水周り情報

1/24 「雪の季節ですね」

雪の季節ですね

1/25 「雪かき」

雪かき

1/29 「年度末が近づきます。」

年度末が近づきます。

1/31 「成長と共に」

成長と共に

2018年 2月
2/10 「UTSUROI TSUCHIYA ANNEX」

「UTSUROI TSUCHIYA ANNEX」

2/23 「作業と作品」

作業と作品

2/27 「大工さんの趣味」

大工さんの趣味

2018年3月
3/13 「工事は仮設工事から」

工事は仮設工事から

3/15 「城崎こども園でお手伝い」

城崎こども園でお手伝い

3/19 「建設現場は動物園?」

建設現場は動物園?

3/21 「母校の修繕!」

母校の修繕!

3/26 「大阪の工務店とジョイントしました!」

大阪の工務店とジョイントしました!

3/29 「解体工事!を行っています!」

解体工事!を行っています!

2018年4月
4/1 「オガクズの行方」

オガクズの行方

4/3 「平成29年度の商工会青年部の支部長を終えました!」

平成29年度の商工会青年部の支部長を終えました!

4/9 「桃島池の木道を整備!」

桃島池の木道を整備!

4/14 「ケミカルアンカーを施工します!」

ケミカルアンカーを施工します!

4/24 「工務店は何でも屋さん!」

工務店は何でも屋さん!

4/30 「協力業者のお話」

協力業者のお話

2018年5月
5/18 「栓(せん)をもむ」

栓(せん)をもむ

5/29 「ポンプはやっぱりスクイズ式!」

ポンプはやっぱりスクイズ式!

2018年6月
6/2 「工場が盛りだくさんに。」

工場が盛りだくさんに。

6/6 「コンクリートが固まりました!」

コンクリートが固まりました!

 

6/6 「奇跡の材料(構造)RC造とは?!」

奇跡の材料(構造)RC造とは?!

 

6/6 「鎮め物を安置しました!」

鎮め物を安置しました!

 

6/18「断熱の話」

断熱の話

6/23 「屋根の上からの景色」

屋根の上からの景色

 

文体、内容に試行錯誤の跡が伺えますね。笑

屋根の上からの景色

仕事柄、屋根に登ることがあります。

2階の屋根なら約5m、3階の屋根ならば約8mの高さです。

たった、この高さでも普段見える景色とは違います。

瓦屋根、トタン屋根、防水された陸屋根。

城崎温泉の屋根の風景が眼下に広がります。

瓦屋根を見るだけでも石州瓦(播州の瓦です)、豊岡瓦(昔は豊岡で瓦が作られていました。セメント瓦です)、色カタチ。

面白いなぁ。

時代毎に流行りやコスト、色んなことが考えられて色んな屋根が葺(ふ)かれています。

何が正解とかではありません。

時代が、世相が建物を紡ぎます。

今の時代にできること、必要なこと。

古来の技術を用いるのが良いのか、最新技術を用いるのが良いのか。

屋根の上から見る風景で改めて思いました!

断熱の話

 

「建物を断熱します!」
どういうことかと言いますと、室温は外気温によって左右されます。
夏の太陽が照り付ければ室温は上昇しますし、冬の凍てつく寒さは室温を下げます。
その影響の受け方を緩和して、室温を人為的に調整するために断熱するのです。

外気温の影響を低減しつつ、エアコンで調整しやすくするんですね。
一般的に屋根裏、外壁、床というように外部に接する部分を断熱して屋内空間を囲います。

木造住宅で最も大切なのは屋根裏でしょうか?
瓦が日差しを浴びると、夕方や夜になっても小屋裏から熱気が流入します。
私の実家は木造3階建て。私の幼少~高校卒業までの部屋は3階。
夏は夜中でも暑かったのを覚えています。
また、冬は屋根に雪が乗っているので寒かった。

近年の住宅は「高気密・高断熱」になっていますのでかなり改善されていますね。

高気密→機密性が高く、スキマ風がない

高断熱→断熱性能が高い

ということです。

高気密になってデメリットとしてシックハウスの問題があります。

このお話はまた別の機会にご紹介しますね。

 

 

さて、UTSUROIの現場は木造ではなくRC造(鉄筋コンクリート)。
建物の吸収できる熱が多いので(熱容量が大きいといいます)、初夏の日差しを浴びても涼しい。
なかなか暑くなりません。
しかし真夏など、熱を吸収しきると、今度は放熱がずーっと続くことになります。
寒さも同じです。
真冬に冷え切ってしまうと底冷えもすると思われます。

そこで今回壁も床も断熱していきます。
床組にはフクフォームという根太間に入れていく断熱材。


そして壁にはぎゅっと詰まった発泡のスタイロフォーム。

そして客室間の隔壁内にはグラスウールを充填していきます。
これは断熱の為というよりは「吸音」の為です。
客室間で話し声が聞こえたりしないように入れます。
商品名は「内装パラダイス」(!!)なんて幸せな材料でしょう。笑

同一現場に3種類の断熱材。
用途・施工箇所によって最適な材料を施工します。

こうして建物は断熱されていきます。

外気温が不安定な現代。

快適に過ごすためには断熱が必要なんですね。

鎮め物を安置しました!

さてUTSUROI現場ではいよいよ大工仕事が始まりました!
壁の下地を組んだり、床組をしています。
やはり大工仕事は見ていても楽しい!
現場にもたくさんの木材が搬入されます。

さてそんな中、「工事安全祈願祭」で絹巻神社さんよりお預かりした「静め物」を安置しました。
木造の新築等では基礎コンクリートの中に埋めてしまうことが多い鎮め物。
今回は現場のほぼ中央の床下、床組するので乾式で安置することにしました。
ギャラリーの壁際で人が真上を歩かない場所を選んで木枠を設置。


つちや旅館の社長に安置して頂きました。
棟飾りはまた後ほど安置しようと思います!

奇跡の材料(構造)RC造とは?!

鉄筋コンクリートの構造を「RC造」といいます。
RCとは、Reinforced-Concreteの略で「補強されたコンクリート」という意味です。
コンクリートは圧縮される力に対抗する力は強いのですが、曲げと呼ばれる横からの力には比較的弱い。
それを鉄筋で補強しています。

大学時代に学んでいて感動したのは、コンクリートと鉄筋の膨張率がほぼ同じだということ!
外気温等の要因に曝されても、コンクリートと鉄筋が一体となって伸び縮みするんです。
膨張率が違うと、コンクリートと補強金属が別の動きをして内部から破裂してしまうんですよね。

これぞ鉄筋コンクリート(RC)が「奇跡の材料」と呼ばれる所以です!

鉄骨ももちろんコンクリートと膨張率がほぼ同じ。
なので現代では世界各地で高層建築にはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)が採用されているのです。

SRCは「Steel Reinforced Concrete 」の略でスーパーRC構造ではないみたいです。笑

 

今回の旧消防署の解体ではコンクリートが堅くて手間取りました。

消防署という建物だから強度高く作られているのか?

新築時に突貫工事もしくは冬季だったから高強度コンクリートを打設したのか?

 

城崎の先輩に聞いたのは「川砂だからもあると思うで」

当時は円山川の川砂をコンクリートの細骨材として使用していたそうです。

今は海砂。

もちろん洗って塩分を落としてから使用されていますが淡水砂の方が強度が出るということでした。

 

セメント+水=セメントペースト

セメント+水+砂(細骨材)=モルタル

セメント+水+砂+砂利(骨材)=コンクリート

です。

セメントは砂と砂利をひっつける接着剤なんです。

世の中にありふれているけど、実はあまり知られていないコンクリートのお話でした!

コンクリートが固まりました!

UTSUROIの現場リポートです。

コンクリートを流し込むと固まります。

当たり前の話です。

固まり方ですが、木工用ボンドのように水分が抜けて(乾燥して)固まるのではありません。

コンクリートの中のセメントが水と反応して固まります。

強度の発現は徐々に強くなっていき、四年で強度マックス!それから50年かけて少しづつ強度が弱くなっていくと言われています。

コンクリートの話はまた詳しくするとして、現場の型枠の脱型(だっけい)を行いました。

横側の型枠は5ニュートンの強度が出たら外せます。今の気候だと一日で発現すると思いますが、打設時に採取した試験体を破壊検査で強度を確認してから型枠を外します。

概ね綺麗に打てていて一安心。

そしてこういう耐震補強の場合は受け口を作ってコンクリートを流し込むので上の部分までコンクリートが打てません。

ですので無収縮モルタルを充填していきます。

練って、でっかい水鉄砲のような器具で埋めていく作業。

左官屋さんの登場です!

この現場は左官作業がとてもたくさん。

谷口屋工務店と古くから付き合いがあり、城崎のほとんどの建物の左官を行なってきた今西左官店さんにお願いしています。

これからは内装の工事です!

引き続き頑張ります!

工場が盛りだくさんに。

ありがたいことに忙しくしています。

現場にもそうですが、工場にも沢山の材料の木材が入ってきます。

これを機械や手作業で加工して各現場に運んで施工します。

やはり工場は木材でひしめきあっているのを見るのが嬉しい。

お施主さんにご迷惑をかけないように頑張ります!

↑これは神さん棚です。

ポンプはやっぱりスクイズ式!

久しぶりのUTSUROI現場リポートです。
さて現場はいよいよコンクリートの打設です。
鉄筋を配置した壁を型枠で囲い、固めていきます。

そしてその型枠の中にコンクリートを流し込みます。
こうして鉄筋コンクリートの建物は作られていきます。

ところでこのコンクリート、どうやって打設(だせつ:コンクリートを型枠に流し込むことを打設といいます)するかといえば、「ポンプ車」という重機です。

↑※参考画像※↑

 

生コン車(ミキサー車)からコンクリートを受け取って圧送するための重機です。

ここで今回の題名。
「ポンプはやっぱりスクイズ式!」
圧送方法にはポンプ車には「ピストン式」と「スクイズ式」があります。

スクイズ式とはは、ポンピングチューブと呼ばれる円筒形の筒を回転式のローラーで絞ることによりチューブ内のフレッシュコンクリートを送り出すタイプのポンプです。

ムダが少なく、送ったり、吸い戻したりすることができるのがスクイズ式です!

性能は優れていますが、比較的圧層能力が低いので低層の現場で使用します。
比べてピストン式は圧送能力に優れるので高層階の現場で使用されます。

という訳で今回の現場にもスクイズ式のポンプ車です。
ポンプ車のオペレータと打ち合わせして打設する場所に順番をつけて準備します。
今回の現場ではブームがほぼ動かせないので建物の中を配管してフレキ管で打設します。

コンクリートはドロドロして流れにくいものです。
ここでコンクリートを流動化する道具があります。その名も「バイブ」
細長いバイブを突っ込んで振動させるとコンクリートが流動化します。

↑※参考画像※↑

 

今回は壁に当てて振動させる「壁振動バイブ」も併用します。

↑※参考画像※↑

 

振動を与えるのは流動化させるのももちろん意味ですが、本当の意味は振動でコンクリートの中の空気を外に出して締め固めることこそが重要です。
良いコンクリートになるようにバイブをかけ、私は隅々までコンクリートが充填されているかを確認します。

大変な重労働です。現場10人で臨みました。
木造の棟上の気持ちで作業。
耐震補強に終わりが見えてきました!

これからは内外部の工事に入っていくことになります。
引き続き頑張ります!

 

 

 

 

余談
私が大学を出て社会人1年目。
現場監督として初めてコンクリート打設した日です。
何もわからずにバイブをかける場所を職人に指示して大失敗。
とび職の親方に(その現場ではコンクリ打設の作業主任はとび職の親方でした)こっぴどく叱られます。
「おい若造!何してんだオメはよぉ!(関東の人です)あんまり下手ばっかりこくならオメのケツの穴からバイブ突っ込んで奥歯ブルブル言わせてやろうか!」

すみません汚い言葉で。
私の人生で一番怖い説教話でした。笑

栓(せん)をもむ

 

 

町内のとある店舗の若社長からのご相談。

「扉に穴ができちゃったんだけどどうしたらええすか?」

扉を交換するのが一番良いけど・・・(笑)

「とりあえず木で埋めておきましょうか?」

「そんなんできるんすか」

大工の技術ではごく一般的なことですが

(DIY上級者もダボでビス頭を隠す栓したりするようですが)

気にしてみないと、実は気づかない仕事なのかなと思いながら。

まずは穴の大きさを測ります。

残念ながら穴が大きく栓を作る工具では作れないことがわかりました。

しかも建具は柾目(要するに縦ストライプ)です。

工場で柾目の木材を探して、専用の栓をこしらえます。

ざっくり丸く削りだして、電気のヤスリをかけて形を整えます。

電動ヤスリでコゲてしまうのでサンドペーパーで仕上げ。

専用の栓ができました。

 

現場に行って、木目を合わせて栓を貫通孔に打ち込みます。

打ち込んだらノコギリで余分な部分をざっくりカットします。

ノミで建具の面(ツラ)に合わせて丁寧に栓をそぎ落とします。

建具は溝のあるデザインなので栓にもノコギリでミゾを掘ります。

ペーパーかけて出来上がり。

色が違うのが気になるところですが、下手に塗装すると美しくないし、日焼けの仕方も変わっていくのでそのままにしました。

徐々に馴染んでくれると良いのですが。

若社長が「おーすげー!意外と目立たなくなった」

と言ってくれたのが嬉しかったです。

 

我々の当たり前の作業も、一般の人はしらないかもしれない、伝わらないかもしれない。

細かいことですがこういうことを常に心に留めてお客様と打合せするようにしないと!と改めて思いました。

 

余談

実家の遊技場の看板の蛍光灯を交換しました。

イマドキみかけない、作りつけの看板。

たしかにこれ自体には価値があるわけではありません。

でもメーカー品よりも、やはり味わいがあります。

なんでも既製品に逃げないようにしないと。

そう思った今日この頃でした。

 

 

協力業者のお話

さて、先日は「工務店はなんでも屋さん」というお話をしました。
今日はその中で最も大切な協力業者さんのお話です。

私が建設業に足を踏み入れたころ、「協力業者」という言葉はありませんでした。
その頃使われていた言葉は「下請け(業者)」です。
確かに元請(もとうけ)と呼ばれる我々が発注するので下請(したうけ)という言葉が間違っているわけではありません。
しかしいかにも上から物言う関係を表すこの言葉が好きになれませんでした。
今から15年以上前のことです。

そして私が谷口屋工務店に入社。
世の中は段々と「協力業者」という言葉を使うようになりました。
私ももちろん率先して使っています。
やはり「協力」という言葉がしっくりきます。
発注する側が偉いとか、偉くないとかではありません。
同じ目標・工事に向かって協力するのが我々工事人です。

谷口屋工務店ではなるべく多様なお客さんの要求に応えられるように信頼できる協力業者さんのネットワークを日々構築するように努めています。
値段も大切かもしれませんが値段だけではありません。
「いかにお客さんの立場に立つことができるか」
ということを協力業者さんに求めています。
城崎町内の工事業者を今でも大切にしています。
それは城崎温泉のことをわかっている工事人だからです。
閑散期・繁忙期、車の流れ、搬出入のタイミング。
城崎の業者さんは城崎のまちのこと、建物のことを良くわかってくれていますし、困ったことにどんなに細かいことでもすぐに対処してくださいます。
やはりこの小さな町にあって高齢化している城崎町工業会ですが、大切な存在です。

 

そしてもちろん豊岡や但馬の業者さんにも信頼できる仲間を増やしています!

近年、特に力を入れているのは「商工会青年部」で出会った仲間です。
城崎は観光地なので商工会青年部に工事関係者は少ないのですが豊岡市の青年部には工事関係の事業所の仲間がたくさんいます。
これまでに仕事を一緒にしたことがなくても青年部の仲間とはこれまでからしょっちゅう顔を合わせ事業を行いお酒を飲んで。人柄が良くわかります。

「六浦くんに恥かかせるわけにはいけへん!まかせて~な!」

そういう仲間ばかりです。

 

今回UTSUROI TSUCHIYA ANNEXでは鉄筋工事を日高の飛栄さんという鉄筋屋さんにお願いしました。


少ない工期の合間を縫ってビシっと鉄筋を組んでくれました。

原社長!ありがとうございます。


こうやって青年部の仲間と仕事できるのは密かな夢のひとつでしたので嬉しく思います。
これからも一緒に仕事を「協力」してやっていける仲間と強力タッグで頑張りたいと思います!