栓(せん)をもむ

 

 

町内のとある店舗の若社長からのご相談。

「扉に穴ができちゃったんだけどどうしたらええすか?」

扉を交換するのが一番良いけど・・・(笑)

「とりあえず木で埋めておきましょうか?」

「そんなんできるんすか」

大工の技術ではごく一般的なことですが

(DIY上級者もダボでビス頭を隠す栓したりするようですが)

気にしてみないと、実は気づかない仕事なのかなと思いながら。

まずは穴の大きさを測ります。

残念ながら穴が大きく栓を作る工具では作れないことがわかりました。

しかも建具は柾目(要するに縦ストライプ)です。

工場で柾目の木材を探して、専用の栓をこしらえます。

ざっくり丸く削りだして、電気のヤスリをかけて形を整えます。

電動ヤスリでコゲてしまうのでサンドペーパーで仕上げ。

専用の栓ができました。

 

現場に行って、木目を合わせて栓を貫通孔に打ち込みます。

打ち込んだらノコギリで余分な部分をざっくりカットします。

ノミで建具の面(ツラ)に合わせて丁寧に栓をそぎ落とします。

建具は溝のあるデザインなので栓にもノコギリでミゾを掘ります。

ペーパーかけて出来上がり。

色が違うのが気になるところですが、下手に塗装すると美しくないし、日焼けの仕方も変わっていくのでそのままにしました。

徐々に馴染んでくれると良いのですが。

若社長が「おーすげー!意外と目立たなくなった」

と言ってくれたのが嬉しかったです。

 

我々の当たり前の作業も、一般の人はしらないかもしれない、伝わらないかもしれない。

細かいことですがこういうことを常に心に留めてお客様と打合せするようにしないと!と改めて思いました。

 

余談

実家の遊技場の看板の蛍光灯を交換しました。

イマドキみかけない、作りつけの看板。

たしかにこれ自体には価値があるわけではありません。

でもメーカー品よりも、やはり味わいがあります。

なんでも既製品に逃げないようにしないと。

そう思った今日この頃でした。