畳のお話

先週、氏神様である城崎温泉の中心に位置する「四所神社」からご依頼を受けて神社各所の修繕を行いました!

まずは社務所の踏込の床がダワダワするということでチェックします。
畳は随分と年数が経過しています。
その下地は五分板。
(五分=約15mmの板ということで、畳の下としては一般的です)

畳の下に湿気取りの新聞が敷かれていました。

日付は昭和56年。

38年も前の畳。

さすがにヘタって当然です。

調べ進めるとどうやら、畳の下の板は腐ってはいないようです。
五分板の下は根太です。
一昔前の建物の根太間隔は現在の1.5倍ほど広い間隔です。
こちらも腐っていません。そしてその下は大引き。
こちらも腐っていないし、虫に食われてもいない様子。

良かった!

要するに畳があまりにヘタれていてダワダワする「感じ」がするということですね。
これなら畳を入れ替えるだけで済みそうです。
その他、本殿の板が外れているところも確認しました。

畳屋さんは氏子でもある月徳畳店さんにお願いしました。

元々社務所は独立して建っていたのに踏込室で住居部分と繋げてあるのでかなり形が歪んでしまっています。

畳屋さんはその間(部屋)の寸法を畳屋さんの測り方でサイズを測っていきます。
たった4枚。されど4枚。
歪んでしまった部屋にピッタリ畳が納まりました。
これぞ職人技。さすが、です。

そういえば、と思い出して先日の本山(大徳寺)参りをした時の疑問点を聞いてみました。
疑問点「大徳寺の畳のヘリ、あまり見たことのない柄だったのですが」
答え「紋ベリだよ。床の間で使うやつ」
あっという間に解決しました。

↑大徳寺に敷かれていた畳

 

今では床の間に使うヘリが、昔のお寺ではお部屋の畳のヘリに使われていたんですね。

なるほど。
大徳寺と塔頭をいくつかまわらせていただいたのですが、板の間(畳がしいていないだけ)と畳のしいてある部屋、一部屋の中でも畳が敷き詰められておらず、板が見える部屋とありました。
当時は畳に座れるのは身分が高かった人だけということだったんですよね。

大徳寺の各ご住職に「特別なヘリですか?」と尋ねましたが皆さん「?そんな特別なものではないですよ」というお返事でした。

なるほど、本山では部屋の畳に床の間用の紋縁を使うのが当たり前のことなんだな~。
文化の違いを感じた今日この頃でした。

畳の知識としてはもうひとつ。
「畳一畳」と言っても寸法がまちまちなのは皆さんご存知ではないでしょうか?

一番大きいサイズの畳は『京間』で、一般的に西日本エリア(関西、中国、四国、九州)で使用されています。
それより少し小さいのが『中京間』で、主に愛知・岐阜・三重で多く見られます。
さらに小さいのが『江戸間』。北海道から関東エリアまでの東日本エリアの大部分を占めています
そしてそして『団地間』というのもあります。

だから関西の人間が関東のアパートで「8帖」と表記されている部屋もなんだか狭く感じるんですね。
不動産屋のトリックです。
ちなみに
京間 (畳/縦 191.0cm× 横 95.5cm)×6帖=10.9443平米
中京間 (畳/縦 182.0cm× 横 91.0cm )×6帖=9.9372平米
江戸間(畳/縦 176.0cm× 横 87.8cm)×6帖=9.2716平米
団地間(畳/縦 170.0cm× 横 85.0cm)×6帖=8.67平米
ということなので京間と江戸間で1割違います。

 

さらに言えば、6帖の部屋でも畳の大きさは1枚づつ違います。
畳職人さんがその部屋にピッタリ合う寸法でこしらえてくれるのです。
だから畳を全部はがす場合は注意が必要です。
パズルのように元に戻らなくなってしまうんですよ。

日本人にとって温かみの象徴でもある和室、そして畳。
最近では畳のない家が増えています。

確かに現代日本人の生活はフローリングをロボット掃除機が走り回る方が便利かもしれません。
しかし和室のゴロンとできる感じ。子どもが転んでも全く問題ない感じ。
とても良いです。畳の部屋。
置き畳でも良いかもしれません!ホームセンターにも売っています。
貴方専用の畳が欲しくなったら畳屋さんに。

長くなりました。
畳のお話でした。