一の湯足湯

今回は以前施工した物件を紹介してみようと思います。
「一の湯足湯」です。
温泉地での「足湯」ももう流行りを通り越して「定番」になりつつあります。

城崎温泉にも足湯は意外にたくさんあります。
さとの湯、柳湯、文芸館、一の湯、温泉寺近く(元湯)、鬼子母神の近く・・

谷口屋工務店では一の湯の足湯を公共工事で施工しました。
ちなみにいたやさんの横にある飲泉場も谷口屋の施工です。

足湯っていいですよね。
フラっと立ち寄ってほっこり。
足が暖まれば身体が暖まるし話も弾むってものです。

一の湯足湯は温泉が石から湧き出ているので手湯にもなっています。
ただし下に滴り落ちて足湯で温度がちょうどよくなるようになっていますので湧き出す温泉の温度は55℃くらいと熱いのでご注意ください。
石から湧き出ることにより石が暖まり、遠赤外線を放出しているとかしていないとか。

この足湯で是非見て欲しいのはなんと言っても屋根。
外観の屋根は「むくり」のある「銅版一文字葺き」です。
むくりとは神社仏閣に多い形式で屋根が曲がっているデザインです。
日本らしさと落ち着きを演出しています。
屋根構造は二重になっていて化粧垂木(見える部分)と捨て垂木(見えずに斜め屋根を形成する部分)で構成されています。
外観の仕上げの銅版は葺きたては金ぴかですがすぐに銅独特の落ち着いた風合いの色に変わります。
銅は酸化することによって薄い皮膜を造り、その皮膜によって深部への酸化(サビ)を食い止め、長持ちする材料といわれています。最近は酸性雨の影響か、昔ほど長持ちし
ない傾向にありますが、やはり趣きもあり愛されている材料です。

内観の屋根、つまり足湯に浸かったら是非天井を見上げてみて下さい。
放射線状に屋根を支える丸太の垂木を見ることができます。
「むくり」のある屋根は二重構造になるので重量が重く、これだけの本数で支えないといけないのです。

あまり見上げることはないと思います。
でもそこには「必要に迫られた構造が作り出す機能美」があります。

このむくりと丸太の垂木は本当に施工が大変でした。
一度工場で組んで、解体して現地へ運び、組み上げました。

大人気の足湯で四季を通して人が座り、語らっている姿を見ることができます。
公共物の工事を行う喜びです。
もう10年経ちました。時代の流れで簡単に取り壊されないことを祈ります。

最後に。
外観の屋根のてっぺんにたまねぎにも似た物体が乗っています。
屋根と同材の銅のギボシのように見えますが・・・
実は「但馬焼き」の壷が乗っています。

本当にただの壷なので凍害や何か衝撃で割れるんじゃないかと思っていましたが・・・
良くもってくれてくれます。