洗い場に桧の溝蓋

数年に一度、某老舗旅館さんの浴室、つまりお風呂ですね。
浴室内にある排水溝の蓋を制作しています。

浴室なのに、木の溝蓋。
数年に一度、交換します。
汚れで黒ずんだり、腐朽が始まるからです。
加工・制作にもけっこう手間がかかります。
それでも数年に一度、発注いただきます。

 

建築当初、設計当初のままに。
メンテナンスの観点から、良いか悪いか。
それはこれを読んでくださった方に委ねるとします。

我々はただ、やりがいを持って美しく仕上げることに心血を注ぎます。

一枚一枚の形をベニヤに写し取ってあるのでそれに合わせて加工します。

上小節材等級(あまり大きな節のない、死に節の無い材料等級です)からなんとか材の取り方を考えて無節になるように。
木目が美しく見えるように。

加工できたら現地で角を合わせて微調整。

一枚一枚、大きく角面を取りながら、 もちろん足が引っかかることがないように。

こうして今回も31枚の溝蓋が出来上がりました。

大量消費のこの世の中に於いて、こういった仕事をすると昔のゆったりとした時間の流れを垣間見る気がします。
忙しない日常から離れて城崎温泉にいらっしゃる観光客。

その方々が老舗旅館で過ごす、日常を異とする時間の流れのお手伝いができた気がしました。