京アニ火災事件で思うこと

最悪の事態に見舞われた事件。
過去最大級の放火殺人事件が京都で起きました。
33人もの尊い命を奪った、本当に悲しい事件です。
評価の高い、新進のアニメ製作会社だけに若い人が、素晴らしい才能を持った方たちがたくさん働いていらっしゃったと思います。
たった1人の凶行によって。
本当に許されることではありません。

さて、心情的なことは一旦置いておくとして。
建設業者として。地域の消防団員として。
たくさん思うところがありました。

まずはやはり、「事件」であるということ。
人為的な火災は圧倒的に強烈な火勢を生みました。
いわゆる火事、給湯室のボヤ等では今回のような火災にはならなかっただろうし、死者の数も全然違っていたであろうことは容易に想像できます。
ガソリンをまいて、着火。
爆発と共に火災が発生したとか。
ガソリンは気化しやすいので、まくだけでも空気中に気化します。
そこに火をつけると爆発する。
爆発によって周辺の可燃物に引火します。
ガソリン自体が燃焼することで通常の火災では一番最後にならないと燃えないフローリング等も燃えていたかもしれません。

床が燃え、炎が避難経路を阻みます。

 

中央に螺旋階段が、奥に階段室があったようです。
階段部分はどうしても竪穴(たてあな)です。
火は上へ上へと燃え広がります。
だからこそ、一般的には階段と居室(きょしつ:常に人がいる部屋)は防火区画がなされているはずです。
延焼を食い止められるために。
防火区画はそもそもされていたのか(構造・規模によって求められる防火区画が違います)。
その防火区画は機能していたのか?
煙を外部に排出する(排煙)機能はあったのか?

排煙機能は作動していたのか?

 

今回の事件で死者が多くなったのはやはりガソリンが原因だと考えられます。
ガソリンの燃焼による黒煙の瞬時大量発生。
2階3階の人がパニックに陥る、視界不良で逃げ場を失う大きな原因になったと考えられます。
3階から屋上へ通じる階段には20人もの方が折り重なるように亡くなっていたと報道されています。

もし、屋上への扉を開けることができたら・・・
タラレバを言い出すとキリがありません。
しかし、しかし。
起きてしまった事件・事故のタラレバを心に留めておくことで未来の事件・事故を防ぐとまではいかなくても、被害を少しでも小さくすることができるかもしれない、そう思います。

ビルの中にいた人の半数が亡くなるという、本当に凄惨な事件です。
建設としては防火区画、排煙、避難経路(二方向避難)等がちゃんと機能していたのか。
本当に気になります。
消防団としては初期消火、消化設備、消防団の動き、消防署の消火活動。
普段の災害ではありません。
事件です。
何がどのように行われていたのでしょうか。

自分がその場にいたら。
何ができたでしょう?
何も出来なかったかもしれません。

今回の事件で、本当に世の中、何が起こるかわからないと思いました。
毎日疑心暗鬼で生きるのは人生として違うとは思いますが、ある程度不測の事態があっても冷静に対処できる自分でいなければ。
そう思いました。
簡単なことではありません。

しかし建設業従事者として、消防団員として。
例えば扉の壊し方は一般の人よりわかるはず。

例えば初期消火に一般人よりは早く対応できるはず。
救急救命が必要な事態ならば対処できるはず。

 

家族の為に、従業員の為に、お客様のために、地域のために。

こころがけだけでも忘れないようにしたいと思います。
本当に亡くなられた方たちのご冥福を心よりお祈り致します。