お稲荷さんの鳥居を設置!(前編)

昨年になりますが、私の生家の町内(清玉稲荷会)からご依頼がありました。

「お稲荷さんの鳥居を建て替えたいんだけど見積りしてくれる?」

さて、困りました。

これまで住宅や旅館をはじめとして様々な工事をしてきましたが、鳥居は建てたことがありません。

それもそのはず、清玉(きよたま)稲荷社の鳥居は現存3本で、最新で43年前に建てられたようです。

私の生まれるより前のこと。

会長である父に「鳥居建てたの覚えてる?」と聞くと「覚えとれへん」の返事。

すると会長がごそごそと事務所内を探してくれました。

祖父が描いた鳥居の設計図です。

これは非常にありがたい。

木材の把握ができます。

これにて見積りを作成。

施工費は、まあこんなもんではないかと想像で。

 

そして年末あたりでしょうか。

町内さんが、「寄付も集まりそうだし、現存の一番朽ちたのを1本撤去して3本建てて~な」ということで受注させて頂きました。

 

早速、木材を発注。

古くからのお付き合いのある船津屋木材さんから工場に材料が届きます。

ん?

丸柱がないぞ?

船津屋木材へ電話で聞いてみます。

「丸柱頼んだつもりなんですけど・・・」

「へ?ちゃいます。丸くするんです、大工さんが」

 

なんということでしょう!

鳥居の丸柱は四角の木材を職人が加工して丸くするそうです!

知らなかった・・・!

やはり建築は奥も深いが幅も広い。

したことない仕事(作業)が多いのも事実です。

まだまだ知らないことが多いですね。

知識をもっともっと集積していかなければ!

大反省です。

そして弊社を退社後も時々手伝ってくれている、一番古株の大工に聞きます。

「鳥居建てたの覚えてる?

「覚えとるで。加工も穴掘るのも建てるのも大変だったわ・・・」

「確か、型のベニヤが工場にあるで、探してみ!」

やはり経験者は強し!

今回建てるのはこの古株大工の弟子なので「困ったことがったら助けちゃってね!」

とお願いして電話を切りました。

 

そしていよいよ木材を工場で刻(きざ)みます。

工場を捜索すると出てきました!

清玉稲荷の笠木の型です。

大工がこの通りに墨付けをして木材を電気カンナと手作業で削りだしていきます。

木材が少しずつ、鳥居の笠木になっていきます。

色々な作業がありますが、やはり大工が木材を加工している姿は恰好良いなと改めて見惚れてしまいました。

 

地域の方々から、お稲荷さんのお仕事をご依頼頂いて。

事務所に祖父の図面、工場に先輩大工の型。

そして私の指示で、現の大工が加工。

なんだか、地域と共に時代を過ごしていることを感じることができて本当に幸せな気分になりました!

清玉稲荷会の皆さん、本当にありがとうございます!

 

(余談)

このブログ、何書こう?

生来の怠け者が出て長らく放置してしまいました。

言い訳をするならば、コロナ禍。

何かを書こうと考えるとすぐに後ろ向きな文字が浮かびます。

そんな投稿では面白くない!

そう思って、筆は重さを増していました。

今回お稲荷さんの鳥居の工事は(私個人としては)初体験で、しかも過程が見てて楽しく、とにかくお目出度いことなので書くに至りました。

これも地域の神様の思し召し。

そう思うことにして更新を続けたいと思います!