「先端の家」竣工!

今年の春から工事していた豊岡市の住宅が竣工、引渡しをしました。

このブログでも度々登場していたこの現場。
UTSUROI TSUCHIYA ANNEXでいただいたご縁です。
設計は近畿大学建築学科で教鞭も執られる垣田先生。

 

垣田博之建築設計事務所

http://www.kakita-arch.com/

 

木造住宅と言うこともあり谷口屋工務店に声をかけてくださいました。
三角の敷地に立つ、こじんまり可愛いサイズの住宅です。
正直、高価な材料はほとんどありません。
でも設計デザインで贅沢な空間を作ることができる。
リビングは吹き抜けで窓のない大きな壁があります。

個人住宅でこんな大きな壁、しかも窓のない、見たことがありません。
田舎に住む日本人としては、色んな場所に窓が欲しかったり、少しでも部屋を大きくしたいものです。
垣田先生の設計では法規に準じながら「狭くて良いところは狭く」、大胆に広いところは広く、メインの導線からはコンセントプレート等目に付かないようにする等細かな配慮を伺うことができます。
ひとつの部屋の中でも空間の容量(ボリューム)の変化があることによって部屋の立つ位置、眺める角度によって印象がガラッと変わります。

2階の階段を上がると書斎兼勉強部屋が。
ここからリビングダイニングは室内窓で繋がります。
家事をするお母さん、宿題をする子ども、仕事をするお父さんが階を違えても同じ空間にいることができます。
声をかけることもできます。

垣田先生はウツロイから谷口屋の木材加工力を買ってくださいます。
優秀な大工がいてこそできる技です。
今の時代にアルミサッシは1枚もありません。
大工の作る枠にいつも一緒に仕事・作業する木工所の木製建具だけです。
階段、そして階段の手摺の加工・設置は大工の腕のみせどころとなりました。

本当にアイデア満載で、大変ではありましたがとても勉強になりました!

とはいえ建物は竣工が完成ではありません。
お施主さんのご家族が住まれてからがスタートです。
10年20年と時間を刻む中でメンテナンス等起きてくるものです。
長い間、ご家族が安心して住んで頂けるようにこれからもサポートしていきたいと思います!

建設業とは

「建設業」と一言でよく言います。
「土建屋」とも。

日本最大手のスーパーゼネンコンも、1人親方の大工も建設業。
設計事務所も、砕石屋さんも建設業。

これほど振り幅のある業種は少ないと思います。

弊社谷口屋工務店はもちろん建設業。
その中でも総合請負業(以前の投稿にも書きました)。
メインは施工です。

もちろん設計もします。
見積もりもします。
でもメインは施工。
施工とは?

「形にすること」です。
実際に作るということですね。

じゃあ設計事務所は?
デザインするということ。描くということ。
誤解を恐れずに書くならば、作り方は二の次です。

夢が詰まっています。
お客さんの想いを描くということ。

でもそれをカタチにするのは設計事務所の仕事ではありません。

それが我々、施工屋の仕事です。

(誤解を恐れず書いた部分、終わり)

デザインの意味と意義を読み取って、実際どうしたら作れるのかを考え、実際にひとつひとつ作り上げていきます。その現場を「納めて」いくのです。

デザインをカタチに。

それはお施主さんの想いを設計士さんが描いて、それをカタチにする作業です。

先日、城崎温泉の外湯で不具合がありました。
お風呂の内部に大きな木造の梁がかかっているのですが、そこに不具合があったとのこと。

確かに湯気がこもる場所に木材なんて・・・
湯船の中に扉(引き戸)なんて・・・

 

施工屋には思いつきません。
施工屋は常にメンテナンスのことを考えるからです。

御所の湯ができて何年?15年くらいでしょうか。
今回の不具合は適正な期間でおきたのか、早すぎるのか、良く持った方なのか。

それは受け取る人によってまちまちでしょう。

私は谷口屋工務店でたくさんの設計士さんと仕事をしてきました。
確かに設計士案件は大変です。正直利益も薄い。
しかしとても勉強になります。
私だったら、メンテナンス性、施工性を優先してしまうのでどうしても無難な方、無難な方へ設計が寄っていきます。予算も設計段階から頭の中をウロウロしています。

しかし設計士さんはやはり違います。
え!?そんなことするの?
ほんまにええの?
格好エエけど・・・
そう思うこともあります。
もちろん、良く考えられています。
練りに練られています。

おそらく一番考えられていること、それは

「攻めのデザインとメンテナンスのバランス」

です。

メンテナンスフリーが良いというお客さんもいらっしゃるでしょう。

1年に1度のメンテナンスはかまわない、そういう方もいらっしゃるでしょう。

いやいや、建物の為に1ヶ月に1回、簡単なメンテナンスならいいよ、そういう方もいらっしゃるでしょう。

 

 

初めて御所の湯に入ったとき、私は驚きました。
浴室内の大きな木製の梁。
湯船の中の引き戸。
圧巻でした。感動しました。

そんな感動をした人が年間何人いて、不具合で休湯するまでにどれほどいたことでしょう?
修繕にいくらかかるのか、どのくらいの期間かかるのかは知りませんが。
(ただ、この盆前のタイミングは残念としか言いようがありませんでした)

 

確かに。

施工者もデザイン力があるに越したことはない。
設計士さんも施工方法を熟知しているに越したことはない。

 

とはいえ、やはり餅は餅屋なんだと思います。
施工・設計それぞれ専門分野の中でも本当に振り幅が大きい。
それが建設業。
まずは自分の専門知識を拡充し続けたい。
そして、設計士さんのデザインを解読する能力をより身につけたい。
そう思って頑張ります!

 

 

 

 

 

 

 

余談
先日、城崎泉隊オンセンジャー終わりでビールをクイっとやっておりました。

「谷口屋工務店のブログ読んどるで!おもろいわ!」

と声をかけてくださった先輩がいらっしゃいました。
おもろいかどうかわからぬまま綴るこの文章が、届いている人がいる。
そう思うだけで小躍りしたくなります!

読んで下さっている方々、ありがとうございます!m(__)m!