小学校の防火戸の修繕を行いました(前編)

豊岡市の入札物件で小学校の防火扉の修繕を行いました。

ところで「防火扉」の存在をご存じでしょうか?

学校や公共施設にある、鉄製のでっかい扉、それです。

火災時に自動で閉まる扉。

何故そんなものが必要なのか?

火災時に一番危ないのは「煙」なのです。

(もちろん炎も危ないのですが)

煙りが建物内に充満すると、まず視界を奪われます。

視界を奪われると避難路を見失い、パニックになります。

そして煙による酸素欠乏に陥ることもあります。

この煙の蔓延を防ぐ設備が防火扉です。

もちろん、炎の延焼も防ぎます。

防火扉には「キャッチロック」というのが裏側にあります。

そして廊下や階段の天井に設置された煙感知器が煙を感知すると連動して防火扉が自動的に閉まります。

扉が閉まっても、通れます。

防火扉には小扉があり、通ることができるのです。

もちろん鍵はかかっておらず、自動で閉まる仕組みです。

防火扉とはこういうもの。

で、なぜ修繕することになったのでしょうか。

 

こういう大規模な公共施設は「特定建築物」の扱いになります。

(城崎でいえば旅館も特定建築物の扱いになりますし、規模によっては防火扉もあります)

特定建築物は「定期報告」の義務があります。

建物が適切に保たれているかどうかをチェックして報告します。

これは建築士などに委託されて専門業者で各器具等をチェックします。

弊社でも特定建築物の定期報告の代理業務を承っています。

定期報告で建物内の器具等に不具合があった場合は改善指示が出されます。

今回は市内の5つの小学校の防火扉が特定建築物の定期報告によって指摘された不具合を解消する工事となります。

田鶴野小学校

新田小学校

中筋小学校

港東小学校

城崎小学校

です。

入札で落札して、市役所建築住宅課と教育総務課と打合せ。

まずは5小学校で現地確認、校長先生と教頭先生へのご挨拶。

1日かかりました。

作業は放課後のみ(15:30以降)、土曜日作業は応相談、日曜祝日は原則不可。

作業時間の少なさが気になります。

そして協力業者と現地確認打合せ。

もちろん、5小学校。

1日かかりました。

必要な材料を手配して、作業日を決めて各小学校と相談の上決定します。

放課後のみとはいえ、5小学校で8日かかります。

 

経費がこんなに嵩むとは思いませんでした。笑

 

さて、次回はどんな修繕だったのかの詳細に迫ります。

お稲荷さんの鳥居を設置!(後編)

いよいよ、鳥居を建立する日がやってきました。

大安の良き日を選んだら、パラパラ雨模様でした。

これを逃すと彼岸に入ります。

なので止む無く、決行。

「神社(稲荷社)で六曜と彼岸(仏教)を気にして建てる」

私が大好きな「いかにも日本人」な感覚です。

神道も、仏教も、いや、何でもかんでも!

やはり「良いとされてる日」が一番気持ち良いのです。

 

さて、建立作業を始めます。

まずは位置を決めて穴を掘ります。

直径20cm程度の穴。

深さはなんと80cm。

専用の道具で丸く掘り進めます。

しかし掘ってみると地中にゴロゴロと埋まっている石が、掘る手を阻みます。

以前あったであろう鳥居の基礎も出てきました。

想像以上に時間を費やし。正直こんな大変な作業になるとは思いませんでした。

とはいえ大切な作業。

1本1本丁寧に穴を掘ります。

掘っては高さの確認、角度の調整、そしてまた掘ります。

掘っては柱を借入して大貫まで仮組。

レーザーレベルで高さを確認しては柱を抜いて微調整。

高さが決まったら穴底に砕石を入れて突き固めます。

そして柱を再度挿入して笠木まで組み上げます。

高さを確認したら柱の足元に再度砕石を入れて突き固めます。

そして少し緩めに練ったモルタルを高さ15cmほど入れて突き固めます。

柱と砕石とをモルタルが一体化してくれるのと、鳥居自体の重量を増すためです。

その後は堀った土で埋め戻し。

少し戻して踏み固め、少し戻して踏み固めの繰り返し。

これで建立作業は完了!

80cm根入れしているので倒れることもないはずです。

同じ作業を3度繰り返します。

穴掘りで腕がパンパンになりました。

でも現場で大工とあーでもないこーでもない、こうしよう!そうしよう!

と作業をするのが私自身大好きです。

休憩では町内のご厚意であやめさんのコーヒーを頂いてほっと一息。

ついに、無事3基の鳥居を建立することができました!

建ったのちに笠木に鋼板屋根を葺いてもらい、塗装の修繕。

そして完成です。

やはりお稲荷さんに鳥居はよく映えます(当たり前)。

町内の方々のご寄進ということもお稲荷さんに欠かせないのではないでしょうか。

なんとか無事に初午さんをお迎えできて良かったです!

改めまして、清玉稲荷会の皆さんありがとうございました!

そしておめでとうございます!

携わることができて本当に嬉しいと共に、光栄です!

 

(余談)

もちろん仕事に優劣などありません。

ですがこうやって地域からお仕事を頂けるのは本当に嬉しいことです。

また、滅多にない作業ということで私も大工も大変でしたが非常に良い経験になります。

これで鳥居製作及び設置作業は谷口屋工務店の得意工事になりましたので他町内・他稲荷社及び神社さんの鳥居をいつでも作れますので是非ご用命ください!笑

 

今まではブログに仕事のことを主に書いてきました。

もちろんそのためのツール。

しかし私は城崎の地域の役目もしています。

イベント情報、というわけではないかもしれませんが、城崎温泉の奮闘も少しずつ書いていこうと思います。

もちろんネタ不足解消のためでもあります。笑

書く習慣から身を遠ざけると、途端に億劫になってしまいます。

この鳥居の工事のお話を頂いた時から「よ~し!ブログに書くぞ!」と決めていました。

久しぶりに書いていると、書くこと自体が楽しい!

これからも書く練習と共に投稿したいと思います。

田舎の工務店の親父のしがない文章ですが、お付き合いくださいm(__)m

 

 

お稲荷さんの鳥居を設置!(中編)

さて、鳥居の材料加工は続きます。

次はいよいよ、柱を丸くしていきます。

四角から丸をどう削り出していくのか?

答えは「多角形にする」です。

四角の四隅を落として八角形。

八角形の隅を落として十六角形。

↑64角形になりました。

更に・・・どんどん多角形化して、最後はペーパーで仕上げて丸柱になります。

過程を揃えることで他の柱と同寸にします。

こうして笠木、柱、大貫、束。

部材の加工ができていきます。

そして組み立てるための接合部。

斜めの角度をつけてホゾ(接合部の突起)を加工します。

角度があることで難しさが上がります。

全ての部材の加工ができたら工場内で仮組して確認。

着色前の白木(しらき)でも雰囲気があって恰好良い!

節等は着色によってわからなくなります。

木材加工が済んだら、次は塗装です。

いつもは竹野の塗装屋さんに仕事を頼むことが多いのですが、今回は町内の協力業者「スズキカンバン」さんにお願いしました。鳥居の塗装と共に文字も書いてもらいます。

我々の業界の常識、「餅は餅屋」。

専門の内容は専門業者さんにお願いします。

丸柱に本当に上手に文字を描かれます。

木材の塗装も簡単ではありません。

一度や二度塗ったのでは木の地肌が透けて見えます。

鳥居は地肌が見えなくなるまで、七度塗ってもらいました。

一旦工場に帰ってきた木材は見事につやつやです。

現地で組み立てた後、再度キズ等をタッチアップ(塗装修繕)してもらいます。

 

綺麗な色。

赤色ではなく、朱色。

お稲荷さん色ですよね。

昔ながらのポストの色でもあります。

着々とお稲荷さんの鳥居に近づいてきました!

 

(余談)

明日、3月23日(火)19:00より清玉稲荷の初午のお祭りを行います。

四所神社さんのご祈祷とお札のお渡し程度のようですが、町内の中心にあってせっかく五本鳥居になりましたので参拝して頂けましたら幸いです!

もちろん、例祭以外でも、いつでもお参りください!

お稲荷さんの鳥居を設置!(前編)

昨年になりますが、私の生家の町内(清玉稲荷会)からご依頼がありました。

「お稲荷さんの鳥居を建て替えたいんだけど見積りしてくれる?」

さて、困りました。

これまで住宅や旅館をはじめとして様々な工事をしてきましたが、鳥居は建てたことがありません。

それもそのはず、清玉(きよたま)稲荷社の鳥居は現存3本で、最新で43年前に建てられたようです。

私の生まれるより前のこと。

会長である父に「鳥居建てたの覚えてる?」と聞くと「覚えとれへん」の返事。

すると会長がごそごそと事務所内を探してくれました。

祖父が描いた鳥居の設計図です。

これは非常にありがたい。

木材の把握ができます。

これにて見積りを作成。

施工費は、まあこんなもんではないかと想像で。

 

そして年末あたりでしょうか。

町内さんが、「寄付も集まりそうだし、現存の一番朽ちたのを1本撤去して3本建てて~な」ということで受注させて頂きました。

 

早速、木材を発注。

古くからのお付き合いのある船津屋木材さんから工場に材料が届きます。

ん?

丸柱がないぞ?

船津屋木材へ電話で聞いてみます。

「丸柱頼んだつもりなんですけど・・・」

「へ?ちゃいます。丸くするんです、大工さんが」

 

なんということでしょう!

鳥居の丸柱は四角の木材を職人が加工して丸くするそうです!

知らなかった・・・!

やはり建築は奥も深いが幅も広い。

したことない仕事(作業)が多いのも事実です。

まだまだ知らないことが多いですね。

知識をもっともっと集積していかなければ!

大反省です。

そして弊社を退社後も時々手伝ってくれている、一番古株の大工に聞きます。

「鳥居建てたの覚えてる?

「覚えとるで。加工も穴掘るのも建てるのも大変だったわ・・・」

「確か、型のベニヤが工場にあるで、探してみ!」

やはり経験者は強し!

今回建てるのはこの古株大工の弟子なので「困ったことがったら助けちゃってね!」

とお願いして電話を切りました。

 

そしていよいよ木材を工場で刻(きざ)みます。

工場を捜索すると出てきました!

清玉稲荷の笠木の型です。

大工がこの通りに墨付けをして木材を電気カンナと手作業で削りだしていきます。

木材が少しずつ、鳥居の笠木になっていきます。

色々な作業がありますが、やはり大工が木材を加工している姿は恰好良いなと改めて見惚れてしまいました。

 

地域の方々から、お稲荷さんのお仕事をご依頼頂いて。

事務所に祖父の図面、工場に先輩大工の型。

そして私の指示で、現の大工が加工。

なんだか、地域と共に時代を過ごしていることを感じることができて本当に幸せな気分になりました!

清玉稲荷会の皆さん、本当にありがとうございます!

 

(余談)

このブログ、何書こう?

生来の怠け者が出て長らく放置してしまいました。

言い訳をするならば、コロナ禍。

何かを書こうと考えるとすぐに後ろ向きな文字が浮かびます。

そんな投稿では面白くない!

そう思って、筆は重さを増していました。

今回お稲荷さんの鳥居の工事は(私個人としては)初体験で、しかも過程が見てて楽しく、とにかくお目出度いことなので書くに至りました。

これも地域の神様の思し召し。

そう思うことにして更新を続けたいと思います!